鉛筆の持ち方、お箸の持ち方について保護者の方からのご質問も多くいただきます。
子どもが書きたいというから好き放題に書かせていたら変な鉛筆の持ち方になってしまい、お箸も同じような持ち方になってしまったとのご相談も多いです。ジラソーレではお子様にあわせて保護者の方にアドヴァイスもさせていただいています。
鉛筆に関して
モンテッソーリ教育ではすぐに鉛筆を持たせるということはしません。日常生活の練習でたくさん3指を使い、絵の具やクレヨンで紙いっぱいに絵を描いたり、のり貼りの筆や、円柱さしなどで鉛筆を持つ間接準備になります。つまり、3指(親指、人差し指、中指)をたくさん使うことで指の分離ができます。メタルインセッツを紹介する際、鉛筆の持ち方の提供をしますが、3指が分離していれば難なく鉛筆を持ち、お仕事をしています。
長年、子どもたちの指の分離の発達段階を観察していると、3指の分離が未発達で鉛筆を持たせる、書くことを先にしてしまうことで中指が前にきてしまいやすい傾向があります。
1,2歳児からたくさん手を使ってクッキングやお絵描き(絵の具、クレヨン)、お子さんの手の発達にあわせた環境を整えてあげると、いざ書きたい敏感期の際には鉛筆を持つ手がしっかりとできています。
焦らないことが大切です。
以下は個人的な意見ですが、日本では鉛筆の持ち方を丁寧に行うのはやはり、箸の文化があるからでしょうね。私がイタリアに留学していたときにはさまざまな国からの留学生がいましたが、鉛筆の持ち方も様々でした。フォークやスプーンを使う文化では、さほど鉛筆の持ち方が違っても影響はないからだと思います。
一方、日本では箸を使う文化がありますので、鉛筆の持ち方も丁寧に伝えるようになりますね。
正しい鉛筆の持ち方だと、はねやはらいもしやすいです。
箸に関して
鉛筆と箸を分離して考えていらっしゃる方もいるかと思いますが、私個人としては鉛筆と箸は深い繋がりがあると思っています。
そのため、鉛筆を持つ手がしっかりとしてから箸をおススメしています。
上の部分の箸を優しく鉛筆持ちで構え
下の部分の箸を差し込むだけ。
そうすることで、少しずつ練習をしていけば補助箸なしに、お箸を持つことができます。勉強会でもお話していますが、ジラソーレの保護者の方には補助箸はお勧めしていません。
食事は楽しい時間であるはずなのに、子どもの箸の持ち方が気になってしまい、注意ばかりになってしまうと、食事の時間が苦痛になってしまいます。大人はあとから自己嫌悪に陥ってしまうことも。楽しく食べてもらいたかったのに、言いすぎてしまった・・・と。
その際、
焦らずに鉛筆も持ち方はどうかな
3指が分離しているかな
一緒に過ごす時間はクッキングをしよう
そのような心持でいると、お子さんの指も分離してきます。
ジラソーレの保護者の方々もお子さんの手の発達を観察して、お箸を持つタイミングを考えていらっしゃる方も多いです。
まわりのお友達が持っているから箸を持たせるではなく、目の前のお子さんの手の発達を客観的に観るということをしていらっしゃいます。これも、観察をするうえで、とても大切ですね。
例えば箸がクロスしてしまうのは、中指がうまく使えてない場合が多いです。
お箸を持つことは、日本の伝統文化でもあります。海外に行き、箸の持ち方を海外の方に教えるのも日本という国を知ってもらうには大切なことでもありますね。私自身もイタリアに箸を持っていき、何人もの友達に箸の持ち方をレクチャーし、箸をプレゼントしたこともあります。「パスタを箸で食べてみたよ!」なんてメールが来たこともありました。
これからますます鉛筆よりもタッチペンの使用率が高くなると、3指の分離が難しいまま、鉛筆や箸を持つことが多くなってきます。そうすると「箸を正しく持つ」とは、どう持つのかも分からなくなってしまう日がきてしまうのか懸念しています。そうならないためにも、意識して手を使う活動を一緒にされたり、お子さんを観察しながら活動を整えてあげてくださいね。