インファントクラスの体験をお申込みされ、
体験にお越しいただく方々が驚かれるのが、
お片付けについてです。
使ったものを元に戻すのは
歩き始めたばかりの
お子さんだけではありません。
私が保育園の0歳児の観察をしていた際、
9ヶ月の子どもが
低い棚に置いてある教具を自己選択し、
終わったら元に戻している姿がありました。
歩けないから片付けられない。
それは大人の思い込みであると、
そのとき私は痛感しました。
自分で片付けられる棚の高さ、
そして、1つ終わったら元に戻すという
大人の一貫した接し方。
子どもは自己選択する自由が保障されるけれど、
でも、そこには使ったものを元に戻すという
制限があるということを理解していくのです。
後に内的規律が育っていきます。
3~6歳では自由と規律と呼ばれていますが、
0~3歳では自由と制限。
自己選択して活動し、それが終わったら元に戻す。
この流れによって、
最後までできた!
ことに繋がっていくのです。
自己選択にはそこに責任もありますよね。
また他者への配慮でもあります。
他にも使いたい友達がいる。
そんなときにあちこちに片付けてしまうと、
そのお友達も混乱してしまいます。
お互いに居心地よい環境。
そんなことも学んでいます。
子どもが次々選択していく。
やりたいだけやらせよう。
そこら中におもちゃが散乱している。
結局、最後は大人が片付ける。
そこに子どもが活動を完結した実感には繋がりません。
これは本当の自由というのでしょうか。
自由と制限(規律)はセットなのです。
制限のなかに自由があるというべきでしょうか。
私達人間は生まれながらにして
人間の傾向性である秩序を持っています。
そして、秩序に敏感な時期もあります。
(秩序の敏感期)
ジラソーレで以前、
2歳児の子どもがお片付けをしている際、
棚に置いたトイレが曲がってしまいました。
どうするかと観察していると、
何度も何度もまっすぐにしようとしている姿がありました。
まさに、秩序ですよね。
では、お片付けは実際にどうしたらよいのか。
自己選択して子どもがその活動を終えたとき、
まだ本能的に目の中に入ったものをやりたい!と
動いてしまうこともあるので、
次あれやりたい!という次の教具を手に取る前に、
「お片付けしようね、どこにあったかな。」と、
はじめは一緒に運びながら元の場所に戻します。
ここで大切なのはタイミングです。
すでに次の教具で活動してしまっていたならば、
大人の関わりのタイミングが遅すぎたことになり、
大人が反省しなければなりません。
そのときは大人が片付けるか、
今している活動が終わってから、
「どちらからお片付けする?」と選ばせてあげて
最終的に2つの教具を片付けることになりますが、
なるべくそういったことは避けてもらいたいので、
タイミングを大切にしていただきたです。
この部分を丁寧に関わることで、
1つ終わったら元に戻すことが
ルーティーンになります。
大人もそうですよね、
机上にものがたくさんあったら
どこから片付けていいのか、
どこに何があるのか分からなくなると
不安になってしまいますよね。
子どもはその影響を
大いに受けてしまいます。
インファントクラスではここを丁寧にしています。
そうすることで、運動の調整だったり、
内的規律が育ったり、
次はこれといった順序性をもった
思考に繋がります。
2,3カ月くらいすると、お片付けが
習慣になってきます。
そのあとは、もしお片付けを忘れてしまった場合には
大人は口出しせず、見守ります。
そうすると、子ども自身が自分で気づくのです。
「あ!忘れちゃった!。」
と言いながら自分で片付けている姿があります。
これも、立派な自己訂正。
大人の心構えとしては、
お片付けをさせなきゃと思うと、
それを子どもは感じ取り
逆に拒否することがあります。
はじめは一緒にしようというスタンスがおすすめです。
片付けして!と感情的にならず、
「お片付けしようね。」
「お片付けしてから次のしようね。」という
毅然とした態度が大切です。
それには大人の自己コントロールも大切です。
そして、なるべく物は頻繁に移動せず、
いつもの場所にあること。
自由と制限のなかで子どもは
秩序ある生活を愛し、
居心地よく生活していきます。
いつもある日常、
それを丁寧に大切にすること、
それが子どもの心の安定にもなります。