今は亡き渡辺和子先生の講演会が都内で行われ、拝聴した際に書き留めたものです。
講演会では、まさにモンテッソーリ教育に通ずるところがたくさんあって、
日々の保育に生かしています。
今、もっとも大切な教育の真髄ではないかと思います。
渡辺先生は、今の時代、
自分だけ良ければ、
お金だけあれば、
今さえ良ければ、
と考える方がいるが、
人間はこれだけでは幸せになれないと、
仰っています。
では、人間にとって何が大切なのか。
誰のために、
何のためにお金を使うべきか、
人様の苦しみ、悲しみに寄り添えるか。
渡辺先生は、今の現代には
我慢すること、
努力すること、
不自由をすること、
がなくなってきていると。
不自由をすることで、
大きな自由を見つけることができるというのです。
私自身、よく聞かれます。
モンテッソーリ教育は好きなようにするんですよね?
モンテッソーリ教育は、子どもの好きなように、
やりたいように自由にお仕事をする?
いいえ、違います。
自由はありますが、その根底には規律があります。
まさにそこに不自由さがあるのかもしれません。
でも、それがあるからこそ自由があるのです。
子どもの言いなりになるのではありません。
自由を履き違えてしまうことは本当に怖いことです。
私自身、小学校の教師から今までの教師歴を見ると10年以上教育に携わっています。
子どもは、本気で自分と向き合ってくれる大人をしっかりと分かっています。
大人が本気で子どもと向き合うことは、時間もかかり、精神的にも大変です。
でも、その想いは必ず通じます。
口だけでやめなさいよ~と言うのと、しっかりと目を見てきちんと伝える、
真剣に伝えるとでは、子どもの受け止め方も違います。
また、叱る際も感情で当たるのではなく、理性でしっかり言うこと。
これは、本当に大事であると実感しています。
耳鼻科に行ったときのことです。
そこに4歳くらいのお子さんと、ママ、おばあちゃんがいらっしゃいました。
男の子は待合室で走ったり、大きな声を出してしまったりしていました。
そのとき、ママは
「うるさいなー静かにしてよ」
と繰り返していました。
それでも男の子は走ったりしていました。
でも、その男の子のおばあちゃんは
「まわりの人はみんな具合が悪いの。
病院で大きな声を出したり、走ったりしないのよ」
と、しっかり伝えていらっしゃいました。
そうすると、その男の子はおばあちゃんの隣に静かに座って待っていました。
その際、渡辺先生の講演会のお話を思い出しました。
しなければならないことをする。
してはいけないことをしない。
愛情を持って厳しくする。
子どもは大事で、本当に愛するなら優しく厳しくする。
と仰っていました。
子どもはよく分かっています。
この大人は僕たちとしっかり向き合ってくれているのか…と。
よく子どもたちを観察していると、これがいわゆる敏感期で何かを欲しているからなのか、
それとも我儘からなのかの判断がつくかと思います。
ぜひ、お子様を育てていく上で、してはいけないこと、
何が子どもにとって本当の幸せなのか、
大事にしなければならないことはないかを、ご夫婦でお話しされてもよいかと思います。
One Reply to “我慢すること、努力すること、不自由すること”